今の若い方たちには、原野商法と言っても何の事かわからない方も多いと思います
昔、原野商法と言って開発予定のない土地や未開発の別荘地の土地売却した不動産会社がいて、それらの方法を原野商法と呼ばれていました
今はそんな原野商法は行っていないのですが、実はこの原野商法の二次被害が出ています
そして実は私の祖父も原野商法で土地を買っており、私の父のところに原野商法の解決といって不動産会社から連絡がありました
今回はそのことについてちょっとご説明したいと思います
原野商法の二次被害について

父のところに突然連絡がありました
それは所有されている〇〇県(かなり田舎の件です)の土地でお困りかと思いご連絡をさせて頂きましたとの事でした
一度そちらのほうに伺うので時間を下さいとの事です
私もこの業界には30年近くいますので、この原野商法の二次被害については知っていましたし、もともと父にもそういう連絡が来るかもわからないから一切対応しないようにと言うことを伝えておりました
そして父からお前が言った通りこんな連絡が来たと言ってきたので、ものは試しと思い、父にわざとアポを取ってもらいました
そこへ私も同席させてもらいました
当然私の事は先方業者には伝えておりません、当初は実家で面談をすると言っていましたが、実家まで来られるのも面倒だったので、近くの喫茶店でお話をすることにしました
そこに現れたのは40代位の不動産会社の営業マンです。まず父親と挨拶を交わし、今回は私1人では心配だったので、息子も同席させますと言って私を紹介してくれました。当然不動産会社とは名乗っておりません
そしてここからその不動産営業マンの説明が続きます。まず〇〇県にある土地ですが、最近数件成約が続いています。そこで〇〇さんも、このままその土地を所有してもお困りだと思いますし、同席されている息子さんも相続されると大変だと思いますので、私どもに売却を依頼されてはいかがですかといった話でした
本当に売れるのであれば当たり前ですが、私が売ります
しかしその辺は売り物件はちらほらありますが、成約した事例は1件もありません
当然私は事前にその事は調査済みです。そしてここからがこの営業マンの巧みな話術(?)が披露されます
まず売れるかどうかは販売してみないとわからないが、今なら見込みがある
そして広告宣伝費等は全て私どもが負担しますのでご安心くださいと言ってきました
まぁここまでは普通の不動産売却の話です。しかしここからが彼らの本当の狙いでした。まず〇〇県の土地ですが、行かれた事はありますかと父に聞いてきました
父は1度も現地に行った事はなく、当然ないと答えました
すると、その営業マンはそれではまず現地を確定するために測量等の作業が必要です。これは必ず売却するときには必要になるお金です。そして調査費用や測量費用合わせて税込みで70万円のお金が必要ですと言ってきました
しかし、売却できれば、およそ〇〇百万円で売却できると判断していますので、手元にお金は残ることになります、そして最後の一言が巧妙でした
なんとその不動産会社は媒介契約の説明をしたときに、一般媒介契約だと言ってきたのです
これは不動産会社の売却ではありえないような話です。通常どこの不動産会社も専任媒介で依頼を受けたのに、あえてこの会社は一般媒介で契約を結ぶと言ってきた所にこの不動産会社の功名さがありました
一般媒介は売主に対しての報告義務がありません
極端な話、何の広告をしてなくてもレインズ登録していればそれだけでも販売していることになります
そして一般媒介ですので報告義務がなく売主から状況などを聞かれたときだけ答えればいいのです
要は売却することが目的ではなく、調査費用や測量費用名目でお金が欲しかったことを私どもは感じました
ここまでは何も言わずに、父の横で黙って話を聞いていたのですが、とうとう私も我慢の限界を超え、自分が不動産会社を経営していることを伝えました
その上で測量の根拠や調査名目などを細かく聞いていきました
最初は、その不動産会社の営業マンも売主から特別に依頼された項目になるので、費用をいただいても法的に問題ないと反論してきましたが、売主が特別に依頼したわけではなく、あなたが最初にそういった費用がいると言った以上はおかしいんじゃないかと言いました
後、一般媒介ってどれくらい責任持って売却してくるんですかと聞いても正当な返答もなく、それでは一体何県〇〇県でこういった山の奥の土地が売れてるんですかと聞いても大した返答もありませんでした(最初は数件成約していると言っていましたが)
まぁこれ以上追求してもしょうがないと思い、後は時間がもったいなかったので、父と2人でとっととその場を立ち去りました
しかし、中には何十年と頭痛の種だった土地が売却できるならと思い、お金を払う方もいらっしゃるようです
今は原野商法はなくなっていると思いますが、40年前・50年前に買われた原野や、開発がされていない別荘地などでお困りの方をこのようにピンポイントで狙っている業者もあります
どうぞお気をつけ下さい
あと最後にもう一つ、今回の私の父が所有している土地もそうですが、もともとの不動産価値が極端に低いため、固定資産税すら請求されていません。いずれは売却できるタイミングが来るのかも分かりませんが、所有していてもそんなに頭痛の種にはなりません